ガ—・レイノルズさんをご存知ですか?この方はプレゼンテーション第一人者で、世界的企業などに対してコンサルティングやプレゼンテーションの指導を行っています。
米オレゴン州出身。1989年に初来日して以来、20年以上日本に在住し、その文化や哲学を研究し続ける。住友電気工業や米アップルの勤務を経て独立。プレゼンテーションの実施および指導における世界的な第一人者。スティーブ・ジョブス流のプレゼンに日本文化「禅」を融合させた手法は、“世界で最もシンプル”なメソッドとして名高い。企業向けの研修やコンサルティングのほか、世界中の企業や大学に招かれて、セミナーを行う。関西外国語大学の教授も務める。著書『プレゼンテーションZen』は世界19カ国で発売され、28万5千部以上の大ベストセラーに。
出所:Garr Reynoldsより
僕は以前、大学のゼミ活動でP&Gとの共同プロジェクトに参加しました。その際、僕たちが訪れた時にたまたま行われていたガ—・レイノルズ氏の「プレゼンテーションに関する講座」に参加することを許可されたので、ありがたく拝聴した次第です。
そこで今回はこの講座に参加して分かった「プレゼンテーションのコツ」についてお話ししていきます。
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目次
話し方
まずはプレゼン時の話し方に関するコツをご紹介します。
笑いで聴衆の心をつかむ
これは他の方の講演会などでも感じることなんですが、プレゼンに引き込まれる人ほど要所要所で笑いを取っていきます。
序盤にまず掴みの笑い、中盤にリズムを作る笑い、終盤に閉めの笑い、といったようにただ堅苦しく発表するのではなく、笑いをとって聴衆との一体感を高めていきます。それによって聴衆は気づかない間にプレゼンに引き込まれていくのです。
聴衆に話を振る
こちらも聴衆との一体感を高めるためのコツなのですが、ときどき聴衆の中の何人かに声をかけることによって、話し手と聴衆との一体感を高めていきます。
話を振られた人は当然ですが、それ以外の人も「自分と同じ疑問を感じている人がいる」などのように感じます。聴衆に話を振ることは、話し手と聴衆との間に距離を感じさせない工夫なのです。
グループ分けをすることで雰囲気を和ませる
今度は聴衆同士の距離を縮めるためのコツです。「ここは疑問を感じる人が多いだろうな」「ここは人それぞれでかなり考え方が分かれるだろうな」といった話題の際に、2.3分の時間を与えて聴衆同士での話し合いの機会を作ります。
これによって聴衆は自分しか気づいていなかったこと、自分では気づかなかったものの見方などに触れることができ、その後のプレゼンもスムーズに進むようになるのです。
ボディランゲージ
これは言葉だけでは伝えきれない微妙な雰囲気をカバーするためのコツです。例えば「コツは3つあります」とただ口で言うだけの場合と、指で1.2.3と指を出しながら「コツは3つあります」と伝えるのでは全く伝わり方が違うはずです。
このレベルの話でも伝わり方が変わってくるので、もっと繊細な話をしているときにボディランゲージを入れていけば、かなり伝わり方が変わってきます。
構成
続いてプレゼンの骨格、構成についてのコツをご紹介します。
プレゼンに重要なのはストーリー
プレゼンの中に1つのストーリーが組み込まれていると、聴衆の感情を動かすことができます。なぜなら人間はストーリーに沿った話のほうが理解しやすいからです。
ストーリーを簡単に説明すると、序盤・中盤・終盤という構成の中にある「一貫したテーマ(メッセージ)」のことです。
ストーリーに絶対必要な構成要素は ①登場人物 ②問題(課題) ③衝突(困難) ④外的・内的変化 ⑤ゴール の5つです。
王道のストーリー構成
ストーリーには王道の構成があります。それは「理想→現実→原因→解決策→解決」という流れで説明できます。
例えば会社の新技術を取引先の会社に販売する業務を課せられたとします。悪い例と王道ストーリー構成の良い例を見比べてみましょう。
✖悪い例
弊社はこの度、××という規制に引っかかることのない新技術を開発いたしました。つきましてはぜひ一度、ご検討いただけますでしょうか?
◯良い例
(理想)御社の○○に関する製品開発能力は業界でもトップクラスです。弊社の技術と御社の製品開発能力を組み合わせれば、業界のトップを取れると確信しています。
(現実)しかし現状は、△△社が市場をほぼ独占しています。
(原因)なぜなら××という規制があって、どうしても弊社が持つ技術のすべてを出し切れる環境ではなかったからです。
(解決策)ですがこの度弊社は、××という規制に引っかかることがない新技術を開発いたしました。この技術を用いれば、業界で最も高度な技術を搭載した製品ができることは間違いありません。
(解決)是非一度、弊社の新技術を採用していただけないかご検討ください。
どうですか?この2通のメールを別々の会社から受け取ったとすれば、間違いなくほとんどの方が後者の会社を取引先に選ぶでしょう。
このように王道ストーリーで構成されたプレゼンは、聞き手の心を動かしやすいのです。
なぜストーリーが必要なのか
プレゼンにはなぜストーリーが必要とされるのか。それはプレゼンはただの自己満足で終わらせてはいけないものだからです。
プレゼンをする以上、相手の心を動かしてこちらが望む行動をとってもらう必要があります。そこで聞き手の立場を意識して、聞き手の理解度を高める策を打っていく必要があります。
聞き手の先入観や抵抗をどう乗り越えるか、聞き手の心をどう動かすか、その解決策がストーリーに乗せて話をすることなのです。
ちなみにストーリーを作る際のコツは、「生き方に関すること」「普通ではないこと」「共感できること」「自分の弱さを見せること」「変化を見せること」「あくまで自然に」です。
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パワポの使い方・スライドのデザイン
最後にプレゼンで多用されるパワポの使い方に関するコツをご紹介します。
基本的に多くの方がプレゼンでパワポを使用するのにもかかわらず、きちんとパワポの使い方について勉強している人はほとんどいません。逆に考えると、ちょっとの工夫でプレゼン上手に見せることが可能ということです。
画像を使って聴衆の感情を揺さぶる
ほとんどの方はパワポに画像を使用することはありません。グラフなどを使用する人はそれなりにいますが、ほとんどの方は文字とグラフで終わりになっています。
しかしパワポでもっと活用していくべきなのが、画像です。画像を使用することで、聞き手の感情に訴えることが可能になります。
例えば「現状は問題があって残念な結果になっています」と伝える際に、暗めの画像や落ち込んだ人の画像を背景に使用するだけで、「あぁ、こんな感情なんだな」と思わせることが可能です。
スライド1枚に内容を詰めすぎない
こちらはほとんどの方のプレゼン資料で改善すべきポイントだと思います。そういう僕も、きちんとできているか怪しいですが(笑)
普段から資料作成をしている方はワードなどの文章ソフトに慣れていると思います。そのせいで、パワポでも文章を詰めこめばOKだと思いがちですが、パワポとワードでは使い方が全く異なります。パワポにはパワポの使い方があるということです。
パワポで最も意識すべきなのが、スライド1枚に入れる内容を極限まで小さくすることです。ここで意識するべきなのは「人間はそこまで賢くない」ということです。
1枚のスライドにいくつものグラフや文章説明を乗せられても、聞き手はなんのこっちゃわかりません。グラフ1つにスライド1枚、キーワード1つにスライド1枚を使用するくらいの気持ちで資料作成に挑む必要があります。
自分が聞いて不満を抱かないかを意識する
結局のところ、プレゼンは相手にどれだけ伝えられるかです。おそらく人にプレゼンする機会がある方ならば、人からプレゼンされる機会も多いと思います。
きっと人のプレゼンを聞いていると、不満に思う点や疑問に思う点がいくつも浮かんでくるはずです。そういったポイントを自分のプレゼンで意識すれば、勝手にプレゼンスキルは高まっていくはずです。
もっと詳しいプレゼンのコツを知りたい方は、是非ガ—・レイノルズ氏の本を読んでみてください。
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